「食べ比べて納得♪1泊2日 福岡とんこつマスターへの道」 に続きまして、”とんこつマスターへの道” シリーズ第2弾「これが九州の 10大 ”ご当地とんこつラーメン” だ!~比べてビックリ! 九州とんこつマスターへの道~」 をお贈りします(o^^o)
【はじめに】
・作成にあたり各種情報の再確認を行っていますが、年数などソースによって前後するケースもあるため参考までにご覧ください。
・解釈は様々であり、必ずしも統一された定義などはありません、時代による変化もあるのでご留意ください。
・今回の記事ではメンムスビとして食べ歩いてきた10数年、そこから得た認識やフィーリングで作成しています。
目次
①久留米 KURUME
②博多 HAKATA
③長浜 NAGAHAMA
④小郡 OGORI
⑤熊本 KUMAMOTO
⑥玉名 TAMANA
⑦佐賀 SAGA
⑧佐伯 SAIKI
⑨宮崎 MIYAZAKI
⑩鹿児島 KAGOSHIMA
①久留米 KURUME
とんこつラーメンのはじまり=久留米ラーメンから。
1937年、久留米市の 南京千両 というお店で誕生したの。
しかしこの時点のスープは今の様に白濁しておらず、白濁のとんこつは1947年に同じく久留米にあった屋台 三九 で偶然生まれたと言われているわ。
この 三九 こそ、九州とんこつラーメンのルーツ。
とんこつラーメンは、久留米から各地へ広がっていったのね。
①大砲ラーメンの「呼び戻し」に代表される、継ぎ足しながら炊く手法が有名。
一気に炊いて使い切るのではなく、骨などを継ぎ足しながら炊いていくんだ。
だから久留米ラーメンのスープは「煮込み時間は半世紀」なんて表現されるんだよ。
②麺はやや太め・柔らかめのストレート麺。替玉ではなく大盛が一般的だ。
③具材には海苔やメンマ、ゆで玉子のスライスなどが乗ることも多いね。
全国の知名度No.1! 大砲ラーメンと兄弟店である清陽軒。
沖食堂やひろせ食堂に代表される、食堂系。
丸星や丸幸のような、国道系などが挙げられます。
“ド”とんこつと呼ばれる 大龍もレジェンドですね。
②博多 HAKATA
1940年、福岡市の 三馬路 からはじまり、赤のれん(1946年)、博龍軒(1952年)が登場したの。
ターニングポイントは 一風堂(1985年)の登場。
1994年にオープンした 新横浜ラーメン博物館に招かれ、博多ラーメンを全国区へ。
創業者である河原さんは、1998年から3年連続で「ラーメン職人選手権」のチャンピオンに!
2008年には世界へと進出、300店舗近くを運営。最強の職人であり、最高の経営者といっても過言ではないでしょう。
ラーメンは国民食から、グローバル食へと到達したと言えるわ。
①その日の分だけを炊く「取りきり」が一般的とされるけど、その限りではない。
とんこつ=白いスープというイメージがあるけど、博多ラーメンは半白濁~白濁まで、濃度・乳化度合い・色も様々だね。
②麺は細め×低加水のストレート麺、やっぱり硬めが人気かな。
ちなみにレジェンドである 赤のれんや博龍軒では昔から細い平打ち麺が使われていて、実は一幸舎や博多一双などの人気店も平打ち麺なんだよ。
③具材はチャーシューとネギなどシンプル。薬味に紅生姜・ゴマ・辛子高菜を置くお店も多いね。
博多だるま、八ちゃん、ふくちゃん、住吉亭、安全食堂、一九ラーメンといった押しも押されもせぬ老舗。
そして、新時代を拓いた 新風、海鳴、玄瑛などの進化系まで。
その特徴・スタイルは様々です。
③長浜 NAGAHAMA
1952年に誕生した、長浜屋がそのルーツ。
長浜エリアにある魚市場で働く人々に愛され広まった、屋台の味よ。
茹で時間が早い ”極細麺” を用い、伸びやすい細麺だから大盛ではなく ”替玉” という方式が生まれたと言われているわね。
先の通り博多は、半白濁~白濁~茶系、乳化や濃度まで千差万別。
「これが博多ラーメンです!」とカテゴライズすることは難しい。
でも長浜には、結構パターンがあると思う。
①スープは薄い白~薄い褐色。重くてドロドロのお店は見当たらず、全体的にサラリ&アッサリとスムーズな味わい。
②麺は博多より更に細めのストレート、硬めが人気。
③具材は「チャーシューとネギのみ」と超シンプル。
そもそもガンソではチャーシューじゃなくて、“肉”だからね(笑)
元祖 長浜屋、そしてそこから生まれた長浜家(家1・家2)
名島亭、長浜ナンバーワン、やまちゃん、一心亭などが有名です。
④小郡 OGORI
福岡と久留米の間にある小郡市から広まった、かの 一蘭 に端を発する系譜よ。
前身と言われる 双葉ラーメン@百道を経て、1966年に小郡の地へと移転。
「日本発の会員制ラーメン店」「唐辛子入りらーめん発祥の店」と言われてるわ。
①クラシカルなシャバ系とは一線を画しつつ、ドロドロ・重たい・臭いとは無縁のスムーズなスープ
②歯切れの良い細麺は博多ラーメンに近いイメージ。
③何と言っても小郡系のチャームポイントは、数十種の素材を独自に配合・熟成した “秘伝の唐辛子ダレ” にあり!
ただの辛味だけではなく、とんこつスープに驚くべき奥行きを与えてくれるよ。
一蘭の味を生み出されたご夫婦から受け継がれたDNAは、その後 鳳凛、我ガというブランドへ。
改めて食べ比べてみるとディテールは結構異なるものの、その原点は紛れもなく等しいものだと感じます。
⑤熊本 KUMAMOTO
久留米から広まった 三九@玉名市 を経て、1953年の 松葉軒 が最初の熊本ラーメンとして誕生したの。
時を同じくして登場した、にんにくチップのルーツ こむらさき(1954年)や、マー油のルーツ 桂花ラーメン(1955年)が代表的な存在。
熊本ラーメンはにんにくの活用によって、圧倒的なアイデンティティを確立したと思うわ。
①スープは豚骨に鶏ガラをプラスした、サラリとクリーミーでバランスの良い味わい。取りきりスタイルが一般的。
②合わせる麺は、存在感ある中太ストレート麺が多いです。
③仕上げに加える、にんにくチップや黒マー油がチャームポイント。
ニンニクを揚げる・煎ることで、とんこつラーメンに新たな魅力を引き出しているね。
こむらさきの味を受け継ぐ 黒亭 や、黒マー油の魅力を全国へと広めた 好来ラーメン、熊本の夜を彩り続けた 天外天(現在は本店が郊外へ)、世界へと羽ばたいた 味千ラーメン なども有名です。
⑥玉名 TAMANA
先のとおり熊本には 三九@玉名市 を経て、とんこつラーメンが伝わったの。
三九のDNAは、天琴(1957年)、桃苑(1963年)を経て更なる世代へと受け継がれているわ。
そこで 「熊本と玉名の違いとは何か?」 を考えてみたよ。
明確な定義は無さそうなんで、実際に食べてきた中でのフィーリングだけど…
①スープは豚骨が基本?熊本では鶏ガラも多く使われるそうですが、どちらかと言えば久留米寄り、濃厚でピュア寄りのアプローチが強い?
②麺は同じくストレート、玉名の方が細め?
③にんにくチップは定番、マー油は少ない?具材がシンプル?
玉名ではオーダー時に「ニンニク入れますか?」って聞かれるよ(笑)
久留米 → 玉名 → 熊本の位置と距離感が表れている気がするなぁ^^
玉名ラーメンの御三家と呼ばれるのが、天琴、桃苑、大輪。
近年では、千龍 を加えて四天王と呼ばれるそうです。
⑦佐賀 SAGA
三九@佐賀市のDNAを受け継ぎ登場した、一休軒 本店(2011年閉業)がレジェンドね。
その後、幸陽閣(1974年)や、旧 一休軒 鍋島店(1980年)~もとむら(2012年)、もとむらの味を受け継ぐ いちげん。(1998年)などへとDNAが受け継がれているわ。
①スープは滋味あふれる優しいアプローチが多く、濃い・重いとんこつ感ではなくダシ感を堪能させてくれるイメージだね。
②麺は太めのストレート。久留米より柔らか仕上げが多く、味わい深いスープと良く馴染む感じ。
③チャーシューとネギというシンプルな構成が多く、そこにシンボルである卵黄がのることが多い。
最初から崩さず、レンゲを使って変化を楽しむのがお薦めだよ。
レジェンドの一角である 大臣閣(1964年)や、ビッグワン(1983年)、麺家ぶらっくぴっぐ(旧 一休軒 本庄袋店)などがあります。
⑧佐伯 SAIKI
1970年頃に生まれ、上海・天津・香蘭というお店が御三家と呼ばれるそうよ。
九州のとんこつラーメンでも随一と言われる、アグレッシブでワイルドな味わいが特徴的。
立地的に大分市内からも、福岡からも、宮崎からも離れた場所にあったことから、ガラパゴス的な進化を遂げた存在と言われるんだって。
①醤油ダレ強め、脂多め、コショウ多め、ニンニクガツンな、ワイルド感溢れる褐色のとんこつスープ。
スープの量は少なめであることが多いみたいだ。
②麺は中太のストレート。柔らか仕上げがデフォルトかな。
③チャーシュー、ネギに加え、モヤシがのるお店も。
ゴマが振られているものも多いみたいだね。
御三家と同じく、昭和40年代から続く 藤原来々軒 も佐伯ラーメンを代表する有名店のひとつ。
白龍、二代目ラーメンカヨなども人気を博していると聞きます。
⑨宮崎 MIYAZAKI
こむらさき(1948年)や、喜夢良(1953年)が草分けと聞きますが…
ココでの内容には、迷いがあるのよね?
久留米・博多・長浜・熊本・佐賀などのラーメンは、もちろんお店ごとの違いや、時代による変化はあれど、ある程度の共通要素があると思うんだけど…
しかし宮崎のラーメン ではなく ”宮崎ラーメン” となると…とても難しい(汗)
メンムスビ的には、大きく分けて2つのタイプがあると考えてるわ。
1つめは、栄養軒(1964年)、さといも(2009年)に代表される、滋味溢れる味わいのとんこつラーメン。
どこか鹿児島で食べる味ともリンクするような、和みに満ちたおいしさです。
単なるアッサリではなく、巧みな脂の使い方や卓上のニンニク醤油でパンチも併せ持ったタイプ。
弾力感ある中太のストレート麺を用い、存在感あるモヤシがのるのも印象的だね。
2つめは、風来軒(1989年)。
こちらは打って変わって全国でも屈指の濃厚とんこつ(濃密の方がピッタリ?)が味わえる名店。
拉麺男@宮崎、火の国文龍@熊本、無鉄砲@京都と言った、数々の超人気店のルーツでもあるんだ。
一度ハマればやみつき!独創的で中毒性の高い味わいが、熱狂的なファンを生み出し続けているね。
宮崎にはもう一つ、市内から遠く離れた延岡の地に 久留米ラーメンの流れをくみ、ガツンと濃厚な味わいの 再来軒(1955年)という名店もあります。
⑩鹿児島 KAGOSHIMA
今は無き、のぼる屋(1947年)がその始まりとされ、のり一(1949年)、こむらさき(1950年)が草分け的存在ね。
でも、特徴やキーワードは結構多いんだ。
①スープは、豚骨ベース・鶏ガラべースと色々で、脂っこさは控えめ。
魚介を使うものも少なくないみたい。白~褐色の半白濁というイメージかな~
②麺は太めのストレート、柔らかめ。
こむらさきでは、かん水を使わない白くて独特の食感の麺を使用しているよ。麺量は多いイメージ?
③揚げネギや焦がしネギを用い、モヤシやキャベツなどの野菜がのるものが多い。
ラーメンが来る前に、大根の漬物が供されるのも鹿児島の風習だね。
ラーメン小金太(1990年)や、その味を受け継ぐ 豚とろ(2003年)。
人気老舗店の くろいわラーメン(1968年)、ざぼんラーメン(1952年)。
進化系の鹿児島ラーメン、五郎屋や金斗雲、元斗好軒などがあります。
数年かけて少しずつ、九州10大ご当地とんこつラーメンを周ってみて欲しいです!
次回予告
「舞台は九州 → 全国へ!」
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